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「あなたのお母さんと、兄弟?」
美織は親猫にそっと手で触れた。その毛並みは乾いて、すでに固くなっていた。
ミィ、ミィ、と子猫は声をあげる。
「死んじゃったんだね」
美織は震える子猫をすくいあげるように両手に乗せた。まだ目も開かないような小さな子猫は、しきりに鳴き声をあげる。美織は子猫を見つめ、それから手のひらでそっと優しく包み込んだ。
「ハカセ、ハカセ、いる?」
屋敷に戻って、美織はハカセを探した。ハカセはすぐに書斎から顔をのぞかせる。
「早かったな、気分転換はできたかい?」
「ハカセ、私、この子と一緒に生きることにする!」
美織の手のひらのなかにいる子猫を見て、ハカセは目を細める。
「猫か、いいんじゃないか?家族が増えるな」
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