ハカセと美織の続いていく旅

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「今回は特に損傷がひどく、自己再生にもかなりの時間を要しました。永遠の時を再生のためだけに費やすおつもりですか?」 「今回は何日かかったの?」 ゼノは美織の枕元にある機材を操作する。 「32日と約4時間ですね」 ロボットは冷たく言い放つ。 「ひと月とちょっとか、確かに時間がかかったね」 のんびりとした口調で美織がつぶやくと、ゼノはぐるりと首を回転させ、こちらを見た。 「もう一度言いますが、勘違いしないでいただきたい。あなたを再生させるために、私は文字通り命を削っているのですからね」  捨て台詞を残し、わざとらしく機械音をたてながらゼノは部屋を出て行った。  残された美織はゼノの去ったドアを見つめ、今度こそ笑みを浮かべた。説教が耳に心地いいだなんて、それこそまた小言を言われてしまいそうだ。  ゼノは、ハカセが作ったロボット執事だ。美織がハカセの住居であるこの屋敷に居候(いそうろう)するようになってからずっと、身の回りの世話をしてくれている。
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