2-2

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   世界が溶けるのが早いか、自分の脳が溶けるのが早いか――――……  次の瞬間ぐらりと機体が傾き、潰れた天井の重みでグシャンと窓が割れ、二、三十センチ程の外界に通じる隙間ができた。ビュウ、と機内に比べれば遙かに冷たい空気が流れ込む。   「……出口、だ」  俺は無我夢中でベルトを外し、シートから抜け出て、倒れた人々の背を踏むようにして這って、その今にも潰れてなくなりそうな窓の方に向かった。  ミシミシ、と嫌な吃音が機体を震わし、危機感を駆り立てる。  もう少しで窓に辿り着く、という所で何かが足に絡まりついた。山となった死に際の人々の中から、すがるように腕が伸びて足首を掴んでいた。   「わ、私も……」 「一緒に、そ、外、へ…………」  それは無理だった。  俺はまだ小さな子供で、せいぜい二十五キロ程の体重しかなくて、あちこちを怪我して自力で歩けない大人を何人も引っ張って一緒に脱出を試みられる程、強い体力も精神力も持ち合わせていなかった。そして彼らを引くどころかその巻きついた手を振りほどく力もない俺はいよいよ彼らと共に心中する、という末路を想像し、悲しみと恐怖はマックスとなって、それまでショック状態で抑えられていた声が爆発した。  
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