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 目が覚めたのは、バラバラと喧しいヘリコプターの中だった。俺と少女は救助に来た自衛隊のヘリに運よく発見され、助けられたのだった。目を開けると、俺はすぐさま名前の確認をされた。 「仙頭花生(せんどうはなお)くん、だね……もう大丈夫。すぐ病院で治療を受けられるからね」  すぐ隣のベッドに、少女が寝せられていた。思わず俺は半身を起こし、声をかけようとしたが、それは隊員にやんわりと制止された。  隊員の表情は、固く険しいものだった。操縦席近くにいる二人の隊員のひそひそ話が耳に届いた。   「あの子は多分……背格好からして、乗客名簿にある三好小祈(みよしさき)ちゃんだとは思うが……早急にICUに入れないと、助からないかもしれないな……」  ミヨシ、サキ。  俺のぼんやりした脳に、その名はその左瞼に輝く薔薇、ガーネットローズのイメージと共に刻み込まれた。  それだけは、忘れてはいけない。  彼女の名は、忘れてはいけない。  彼女の名だけは。  その名を繰り返し繰り返し頭の中で反芻し、そして俺はまた再び眠るように意識を失くした。
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