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 特に傷跡が残るような酷い火傷も深い外傷も無かった俺は、救急医療センターに三日滞在した後、地元の総合病院に転院し、それもまた数日で退院となった。  両親を失った俺の引き取り手を探して、親戚間で協議が重ねられたが、経済的に余裕が無いとしてどこも手を上げることをせず、結局俺は児童養護施設へと収容されることになった。  仲の良かったはずの母の姉のミナ姉ちゃんも、クリスマスの度に高いおもちゃを買ってくれたじいじばあばも、甥っ子であり孫であるから可愛がってくれていただけで、実子として迎える心の余裕も器の広さも、財布の中身以上に持っていなかった。    彼らにも生活がある。小生意気な男児を一人、ペットのように飼う余裕は無かった。  小さいながらに俺は大人に失望し、残酷な世の中に悲しみ、自らの不幸を呪った。
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