いちれつ、いちれつ。

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 なんせこのパズル、一つステージをクリアした時、その状況を次のステージにも引き継ぐことになるのだ(スキマに新しいフルーツが降ってくるので完全に同じではないのだが)。ようは、押しても引いても消せない焦げ焦げフルーツが、ステージが進むごとにどんどんフィールドに溜まっていってしまうのである。 ――つか、明らかに詰みの状況なのに、ゲームオーバーにならねーのも意味わかんねー。  ぐぬぬぬ、とあたしは呻くしかない。  特定のステージを過ぎ、このフルーツがたまりすぎた状態で一つもフルーツが消せない“詰み”の状態になった場合。何故かゲームオーバーにさえならず、ゲームが進行しなくなってしまうのだ。結果、リセットして状況改善を図るしかなくなる。で、再開したら同じようにステージ3以降に潜む焦げ焦げフルーツに圧迫されてまた詰み――さっきからそういう繰り返しになっているのだった。 「こいつ抹殺する方法ないの?ネットの民、教えてよー」  ぶーぶーと文句を言いながらネットで攻略法を検索するあたし。しかし不思議なことにいくら検索しても“フルーツでGO”というタイトルは出てこない。ひょっとして、みんなが全然知らないくらいマイナーなゲームなのだろうか。確かに今どき、ブラウザでやれるパズルゲームにドはまりしている女子高校生も珍しいのかもしれないが。  Twitterでタイトル検索してもダメ。これは自力で調べるしかないのか、とゲームのヘルプを読んでいた時だった。 「これか!?」  あたしが見つけたのは、課金アイテム、という文字だった。  いわく。特定のアイテムを使うことで、詰みあがったフルーツブロックを縦、もしくは横に一列消すことができるというのである。“パフェ”を使うと縦に消すことができ、“ケーキ”を使うと横に消すことができる模様。何でどっちも甘そうなお菓子なんだ、フルーツ作って料理をしてますってことなんだろうか――という突っ込みはさておき。  確かに、このアイテムを使えば、黒いブロックに圧迫された状況も改善できるだろう。どうやら、焦げ焦げフルーツを消す方法はこのパフェかケーキを使う他ないらしいから尚更に。だが。 「金取るのかよお。ぼったくりじゃん!」  どうしよう、とあたしは悩んだ。これぞまさに、無料ゲームの最後の手段というやつだろう。  クレジットカードなどなくても、スマートフォンの通信料との合算を使えば課金アイテムを購入することはできる。しかし、そもそもこのスマホはあたしが購入したものではない。親が買って、通信料も親持ちになっているものだ。  以前アプリゲーでちょっとっばかり課金しただけで、ねちねちと叱られたのをよく覚えている。ここでアイテムに課金したらまた余計な説教を食うのは明白だった。  というか、子供が課金アイテムを無断で買わないようにするためなのか、アイテムの説明文にははっきりとこう書かれている。
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