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部活を終えた俺は寮に向かう。そういえば、今朝、寮長に
『そうそう。君の新しい同室者、今日からくるよ』
『そうっすか』
今日から新しい同室者が来るらしい。普通のやつなら助かるんだけどなぁ…。
寮に到着し、寮長に「戻りました」と告げる。寮長は「おかえり。同室者、来てるよ」と教えてくれた。
「分かりました」
「大丈夫だよ。今度の同室者は本当に大丈夫だから」
にこっと全部わかっているような笑顔を浮かべる寮長に苦笑いをしながらも、頭を下げた。
701。
自分の部屋番号を見つめ、ため息を吐く。
ーーーー今度の同室者はどうか俺のことを好きになりませんように。
そう願いを込めて、ドアノブを回した。
開けた瞬間、いい匂いがし、食欲がそそられた。
「あ、同室者帰ってきたか」
聞き覚えのある声がし、俺は顔を上げた。
キッチンから顔をのぞかせた新しい同室者---
「え、あの変わった自己紹介をしたやつ?」
意外な人物がそこにはいた。新しい同室者は俺を見て、
「ああ、同じクラスの…野球部の…赤羽か」
無表情のままそう言ってきた。本当に俺のこと、興味なさそうだ。
「えっと、お前が俺の同室者?」
「そうらしいな」
新しい同室者こと、モブはエプロンをつけていた。しかも前髪をバッジで止めていた。朝、自己紹介の時は見えなかった素顔が見えてなんか何とも言えない気持ちになった。
「今日からよろしく。赤羽。夕飯、食うだろ?」
「あ、ああ」
自分の荷物を部屋に置いて、軽くシャワーを浴びてからダイニングテーブルへ向かった。
やっぱり、あのモブだ。
寮長の言っていた言葉の意味が分かり、俺はホッとした。
確かに、こいつなら問題なさそうだな。
「えっと、お前のことは何て呼べばいいんだ?」
「好きに呼んでもらって構わないぞ」
「でもさすがに、モブくんとかは悪いしなあ…」
「全然気にしないのに」
俺はキョロキョロと周りを見渡した。そこでスマホを見つけ、ロック画面に出ていた通知を目にしたーーーー。
赤羽side fin
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