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俺の同室者は同じクラスの赤羽だった。確か、野球部でピッチャーだったな。朝、自己紹介の時とは雰囲気が違うがこれが本来の姿なんだろうな。
「あ、□□って呼んでいい?」
俺の本名を言ってきた赤羽に俺は珍しく、表情が崩れたことだろう。
「な、なんで」
「スマホの通知に出てた」
慌ててスマホを見ると、幼馴染からのラインだった。
しまった…。裏にしておくべきだった。
「いやあ、その名前で呼ぶのはやめてほしいな」
「なんで?いい名前じゃん」
「いや、俺はただのモブなのでモブで十分だって」
「お前、変わってんなー!」
ニコニコ笑う赤羽に、動揺する俺。
あの後、何度か説得を試みたが赤羽は折れてくれなかった。妥協案として、俺の名前を呼ぶのは二人だけの時のみにした。
「へへ、やったぜ!改めて、よろしくな!」
「…よろしく…」
赤羽に握手を求められ、俺は仕方なく握手をした。力強く握られた。陽キャラ怖い。
「□□は俺の顔見て、どう思った?」
「は?」
何言ってんだ?こいつは。
「まぁ、イケメンだとは思うけど」
「付き合おうとは思う?」
「一ミリも思わねえよ。何が言いたい?」
そう言うとなぜか赤羽は嬉しそうに「そっか」と1人で納得していた。
いやいやいや。
質問の意図を教えてくれよ、、。
赤羽。根明なスポーツマンだと思っていたが、そうじゃないらしい。
この先が思いやられる。
「はぁ…」
「この肉じゃがうまいな!」
「どうも」
俺はこのよくわからないやつと1年間同じ部屋で過ごすことになった。
ちなみに幼馴染の同室者は中村だったらしい。
中村、がんばれ。
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