壁下洋介の気付き

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壁下洋介の気付き

 壁下洋介は組織から人殺しを請け負って仕事をしていた。健全な世の中に見えて悪は蔓延り組織は隆盛していた。  一人を殺すと五百万支払われた。十代の頃から人殺しを生業としてきた壁下が三十才になって別の仕事に就くことは困難だった。  壁下は組織に従属しながら不満を抱えていた。仕事の報酬に関してだ。相手がどんな奴でも五百万しか払われない。  相手によっては武器が使える玄人の場合もあった。人殺しを長い間してきた壁下でも逆に殺される目に遭うことがあった。  殺される危険があるのに五百万とは割が合わないと思った。組織は報酬は依頼料の五割とずっと言っていた。しかし壁下が身元と声を偽って藪中に依頼すると依頼料は五千万だった。  壁下は強い怒りを覚えた。これまで散々一割で使ってきた幹部連中を殺そうと計画した。
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