雨と傘と再会。

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ポタポタ、 ポタポタ。 私の手の甲に水滴が落ちる。 「……」 ああ、雨だ。 朝、家を出た時は晴れていたのに、天気予報を気にする余裕がなくなったのはいつからだっけ。 新卒で入社してまだたったの3ヶ月。 絶対に嫌な上司や先輩は一人いると覚悟はしていたのに、よりによって指導係がそれなんて。 『こんな事も出来ないの?大学出てるのに頭悪いなぁ』 先程言われた言葉が頭の中をグルグルしている。 昼休み、会社には居たくなくて近くの公園で昼食を採るのが日課になっていた。 「はぁ」 ため息をついてお弁当をしまう。 その間にも雨足は少し強くなり始めた。 それでも……重い腰は中々上がらない。 このまま、私だけ雨で溺死しちゃえば良いのに。 そんな馬鹿みたいな事を考える位にはメンタルがやられていた。結構、図太い方だと思っていたのにな。 もう一度ため息をついた時。 「大丈夫ですか?」 雨が、止んだ。
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