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「じゃあ、秋桜君の連絡先教えて」
「……なんで?」
「あさってはちょうど休みだし、駅まで迎えに行く」
「いくらなんでも首を突っ込み過ぎ。こっちで解決するから大丈夫」
自分でも、部外者のお節介だと思う。
でも。
「楓は負けず嫌いできっと学生の頃から優秀だったよね?」
「?まあ努力はしてたから成績も上位でスポーツもそれなりに出来たよ」
絶対に成績はトップでスポーツもそれなりなんかじゃなく出来たと思う。
「そんな完璧な兄がいて厳しいお父さんもいたら、自分の意見なんて言えなくなっちゃうんじゃないの。楓とは少し年齢も離れてるし」
「確かにそうかもしれない。でも秋桜は伝える努力もしないで家を出て行った。父は厳しいけど個人の意見をないがしろにはしないよ」
「うちと遠野家を比べるのは忍びないけど大和が何をするにも要領良くて姉としてコンプレックスはあったよ」
「……とにかく、俺はこの件に関しては譲らないし里津が首を突っ込むのも許さないから」
「許さなくて良いよ。勝手にやるので」
「「……」」
バチっとお互いの間に火花が散る。
何とか秋桜君とコンタクトを取りたいけど、どうすれば……。明後日、楓の実家の最寄駅で張り込む?多分秋桜君は電車で帰ってくるよね?
「里津の分からず屋」
「楓の頑固者。これ以上話しても埒が明かないからご飯食べよう。結構頑張って作ったんだから」
「うん、ありがとう」
「ありがとうって、この流れで言うんだね」
素直か。
「それとこれとは話は別。里津と喧嘩したいわけじゃない」
「私だってそうだよ。せっかくのクリスマスだし」
「じゃあ今から切り替えよう。シャンパン飲むよね?」
「……うん」
私、楓と口喧嘩しても絶対勝てないだろうな……。
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