遠野事変

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夕食を食べ終えて楓が作ってくれたケーキを取り出すと、そこにはプロ顔負けの出来栄えのクリスマスケーキがあった。 「これ、本当に作ったの?」 「うん。自信作」 イチゴがふんだんに使われていて、メリークリスマスと書かれたチョコ、サンタとトナカイのマジパンも乗ってる。 「……すごい。前言ってた歳取ったら田舎でケーキ屋さんやりたいって夢、本当に絶対叶うよ」 「ああ。お客様第一号になってくれるんだよね?」 「うん」 「なら、未来のお客様にプレゼントも差し上げます」 「?」 楓は自分の部屋に行き紙袋を手に持って出てきた。 「何あげたら良いかかなり迷ったけどクリスマスプレゼント」 「!」 か、紙袋が……。私では到底手が出せないハイブランドなんだが。 「普段使いも出来るバッグにしてみた」 確かに仕事でもお出掛け用でも使えそうな少し大きめのバッグだ。 「っ、ありがとう。このバッグに釣り合うような人間になってみせます」 「大袈裟。今でも十分似合うと思うよ。ちょっと持ってみて」 「う、うん」 バッグを持って数歩歩いてみる。 見た目はシンプルだけど、形が可愛い。 「やっぱり似合うね。今度それ持って食事に行こうか」 「!行きたい」 「じゃあフレンチ予約する。とりあえずケーキ切るから」 「あ、その前に私もプレゼント用意してた」 「この間誕生日プレゼントもらったばかりなのに」 「それとこれとは別だよ」 今回も悩みに悩んでキーケースにした。
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