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◆◆◆◆
「水いる?」
「……いる」
楓からペットボトルを受け取り口をつける。
本当に、思いきり抱かれたせいか体は心地好い疲労感に包まれて凄く眠い。
「眠い?」
「眠い。誰かさんのせいで」
「ごめんね」
「……」
あまり悪そうにしていない。
「あのさ、一個だけ聞きたいんだけど」
「なに?」
「秋桜君のこと。最初から許すつもりだったよね?」
「どうして?」
「会長が自分のやりたい事があるなら好きに生きろって秋桜君に言ったんでしょ?」
楓は私を抱き寄せる。
「うちの父は器の大きい男なので」
「なら言って欲しかった」
私の出る幕なんてなかったじゃないか。
「里津が一生懸命だったからね。まあ、まさかここまでするとは思ってなかったけど」
「そりゃするよ。頑張ってる子は応援したい」
「行動力有りすぎてビックリした。雪臣まで使うとは」
「何だかんだ助けてくれるかなって」
「味方にいたら心強いでしょ」
「まあね」
敵だったら徹底的に潰されそうだ。
「でも丸く収まって良かった」
「うん。今日はありがとう」
「いえいえ……」
何だか、本当に眠くなってきた。
「里津、」
楓が何か言っているのに頭に入ってこない。
温かい体温を感じながら眠りについた。
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