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死んで始まる物語
「ぐふっっっ!!!」
男性が女性に暴力をふるう、それは人道的に許されない行為だと誰もが知っている。
しかし池田面斗のボディブローは全く手加減される事無く、赤糸結衣のみぞおちにさく裂した。
内臓が破裂、吐血し地に倒れ込む。
雨が容赦なくアスファルトに這いつくばる結衣を濡らす。
なぜか池田も腹部から大量の血を流して倒れ込んだ。
「がふっ、うっ、ごふっ!」
吐血量が多くて叫ぶ事も、その場から動く事も出来ず、結衣の意識が遠くなる。
「ど・・・どうして・・・」
結衣の意識はだんだんと遠くなり、暗闇の中に溶けていった。
数刻後。
「・・・・・・はっ⁉」
「目が覚めたか?」
「こ、ここは・・・そうか、私・・・死んじゃったのか」
「うむ」
結衣の肉体は消滅した。
そして、ここは魂だけが存在できる世界。
結衣の中に存在していた魂は現状をすぐさま理解した。
結衣の魂が会話している相手は「転生をつかさどる者」である。
「あーあ・・・短い人生だったなあ、まさか彼氏に殴り殺されるラストだったなんて」
「まあ、自業自得じゃ」
転生をつかさどる者が淡々と答えるが、結衣の魂の癪にさわった様だ。
「・・・何よ、自業自得って!」
「そうじゃろうが、あの男はお前さんが作ったのじゃから」
「私が?・・・あ・・・あーーーーーーっ!!!!」
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