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その日から僕は目に見えない鳥を飼い始めた。
エサは朝やるだけでいいと言われていたので、仕事に行く前にエサをカゴの中にいれる。
エサは普通の鳥のエサ。
仕事が終わり家に帰る。
「あれ?」
エサはそのまま、減ってない。
その次の日の朝、新しいエサに変えたが、仕事から帰って見ると、そのまま、食べた形跡はない。
(これは、おかしくないか?)
なにかあった時にと教えられていた連絡先に電話した。
「うーん。」
例のカフェ、テーブルの上に置いたトリカゴ見つめておばさんがうなった。
隣で彼女も心配そうにカゴを見つめる。でも僕の目線に気づいたらこっちを見る、にこりと笑う。
相変わらずおばさんは僕の前の席……
「少し、弱ってるかなぁ。」
おばさんが色々な方向からトリカゴの中をのぞく。
「エサを変えてみようか?」
と言うと、カバンの中から袋に入ったゼリー状の物質を取り出し、皿にのせてカゴの中にいれた。
「あっ!」
入れた瞬間見る見るうちにゼリーが小さくなって行く。
彼女も驚いた表情でカゴの中を見つめる。
「やっぱり、エサがあわなかったのかも、今日からこれを与えてみて。」
「は、はい。」
「じゃ、新しいエサ代、3万円ね。」
「えっ?」
おばさんがにっこり笑い、隣の彼女が僕を見て微笑んだ。
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