対決

4/10
前へ
/112ページ
次へ
 そう言って、非常階段の重い扉を開けると、カンカン音を立てながら地上まで降りていく。  一階につくと、扉をそうっと開けたカスミが外をうかがい、いいよ、と言う声と共に走って裏通りへ。  喫茶店に入ると、息も絶え絶え。  普段はこんな所昼にはこないんだけど、今日はしょうがない。カスミごめん。  「……で。まず、新田さんは何か言ってきた?」  「何も言われてません。この間の話以降会ってないし」  「ホントに、周りから固めてきたわね。よほどの自信があるんだね。フラれるという選択肢がないと思ってるというか、フラレないようにしてるんだろうけど」  「……私、新田さんを勘違いしていたかも知れない」  「そうじゃないでしょ。雫の反応も悪くないから、勝負に出たんだよ。このままじゃ、いつ誘っても社交辞令扱いされかねないし。気持ちはわからんでもない。沢渡さんもうるさいし、時田はにらんでるし。ま、新田さんは相手にしてないけどね。クラスが違う。実は飲み会であんたを狙ってる営業が2課の新田さんの同期にもいたみたい。アノ仕事出来る人だよ。だから、牽制したんでしょ」
/112ページ

最初のコメントを投稿しよう!

975人が本棚に入れています
本棚に追加