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そう言って、非常階段の重い扉を開けると、カンカン音を立てながら地上まで降りていく。
一階につくと、扉をそうっと開けたカスミが外をうかがい、いいよ、と言う声と共に走って裏通りへ。
喫茶店に入ると、息も絶え絶え。
普段はこんな所昼にはこないんだけど、今日はしょうがない。カスミごめん。
「……で。まず、新田さんは何か言ってきた?」
「何も言われてません。この間の話以降会ってないし」
「ホントに、周りから固めてきたわね。よほどの自信があるんだね。フラれるという選択肢がないと思ってるというか、フラレないようにしてるんだろうけど」
「……私、新田さんを勘違いしていたかも知れない」
「そうじゃないでしょ。雫の反応も悪くないから、勝負に出たんだよ。このままじゃ、いつ誘っても社交辞令扱いされかねないし。気持ちはわからんでもない。沢渡さんもうるさいし、時田はにらんでるし。ま、新田さんは相手にしてないけどね。クラスが違う。実は飲み会であんたを狙ってる営業が2課の新田さんの同期にもいたみたい。アノ仕事出来る人だよ。だから、牽制したんでしょ」
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