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家族への紹介
月曜日の料亭の帰り道。
すっかり疲労困憊の私を気遣って、亮ちゃんはタクシーの中で優しく肩を抱き寄せてくれた。
明日からのことは、大丈夫だと何度も言う。
おそらくは、新田さんが上手にやってくれるのだろう。亮ちゃんより、そういうことは上手に処理できそう。
っていうか、砂かけてきたのはあっちなんだから、当然だよね。こっちに砂飛ばさないでー。
「どうしよう。社内の友人には本当のことを言ってもいいかな?」
「いいよ、別に。恥ずかしいことなんて何もない。ただ、俺も社長や専務には言ってないから、俺の口より先に噂として耳に入ると良くないかも知れないな」
そうだよね。
「……亮ちゃん。アメリカでもお付き合いしている人いたんでしょ?」
「なんだ突然?まあ、いないことはなかったけど」
「もう、結婚してもいい年だから、縁談とかあったんじゃないの?」
亮ちゃんはビクッとして、固まった。
やっぱりね。だれもいないわけないじゃん。このスペック。
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