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「……やっぱり。熱あるよ。もう帰っていいよ。一人で帰れる?」
後の仕事をお願いして早退することにする。
一応、家に連絡しようと携帯を見ると、亮ちゃんからメール。
辛すぎて見てられず、ごめん気持ち悪いから帰るとだけ書いて返信する。
すると、フロアに亮ちゃんが現れた。
課長がびっくりして出てきたが、亮ちゃんは真っ直ぐに私に向かってくる。
「雫、大丈夫か?」
私の身体を自分の肩に持たれかけさせて、熱を測ろうと手でおでこを触る。
すぐに、手を離してしかめっ面をする。
「大分熱あるな。歩けるのか?」
周りは、一体何事かとこちらを凝視している。
亮ちゃんは課長に向き直ると、ハッキリと言った。
「花崎さんは元々知り合いなんです。家も近いので僕が送っていきます。営業先に行く途中なので」
皆、あっけにとられている。
澄ちゃんは、口に手を当てて、真っ赤になってる。
「わ、わかりました。ではお願いします。花崎さんお大事にね」
課長はそう言うと、荷物を持って私を抱き上げた亮ちゃんを廊下まで見送った。
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