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「……やだ、亮ちゃん、こんなに立派になって。ごめんなさい、気づかなくて。あまりに素敵になって。って?どうして雫といるの?」
「お母さん、亮ちゃんはウチの会社の人だよ。お父さんから聞いてないの?」
「え?そうなの?何も聞いてないわよ」
そう言うと、玄関を開けて私を抱える亮ちゃんがそのまま部屋へ運んでくれた。
階段が狭いから、下りるというと、俺たちが大きくなったんだな、懐かしいこの階段とひとりでつぶやいてる。
私をベッドに置くと、ゆっくり休めよと言って下りていく。
母の嬉しそうな声が聞こえて、しばらくお茶を飲みながら話をしたようだった。
気がついたときには寝てしまっていた。
次に目が覚めたときは真っ暗だった。
枕元の机には水や薬、ゼリーや鍋に入ったおかゆなどが並べられている。
とりあえず、身体を起こしてトイレに行くと、音がしたせいか母が顔を見せた。
二階にあがってくると、「具合どう?」と聞いて、鍋を持ち、「あたためてくるわね」と下りていく。
私は水を飲むと着替えてすっきりした。
母が鍋を持ってくると、蓋を開けてお茶碗に入れると渡してくれた。
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