病気の心配と小さな期待

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「もしかして、俺の家は嫌?」 「ううん、嫌じゃないけど……」 「けど?」 「き、緊張しちゃうなって……」 「緊張なんかしないよ。ここよりも狭いし、全然片付いてないし」 それでも先生の部屋に行くとなるとどうしても緊張してしまう。急に胸がドキドキしてきた。 「なあ、真悠子。俺も緊張したんだけど。昨日真悠子の家に入るとき」 「そ、そうなの?」 「当たり前だろ? 夜遅くに女性の家に、しかも教授の家に入るんだからな」 だから一緒だよ──と微笑む先生に、私も引き攣った笑いを浮かべる。 「着替えて髭剃って少し片付けて戻ってくるから……そうだな、2時間くらいかかると思う、準備して待っててくれる?」 「うん、わかった」 「じゃあ、マンションの下に着いたら連絡する」 先生はパウダールームに行ってスウェットから自分の服に着替えて戻ってくると、帰る準備を始めた。 「なるべく早く戻ってくるから」 玄関のドアの前で私を引き寄せた先生がおでこにチュッとキスをしてくれる。 「うん。準備して待ってる」 「じゃあ、またあとでな」 手を振って先生を送り出した私は、じんじんと熱を持つおでこに手を当てたまま、しばらくぼうっとその場に立ちすくんでいた。
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