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推しが弟になりました。
「ただいまー、腹減ったー」
「おかえり、涼雅。夕飯できてるよ。」
「サンキュ。翔ちゃん。」
母親の再婚から半年、俺と涼雅は年が近いこともあって、すっかり打ち解けていた。
ただ一つ、俺が涼雅のファンであることを秘密にしているのを除いては。
「父さんと母さん、今頃楽しんでるかな?」
涼雅が言った。
俺の母親と涼雅の父親は、今日から2週間の新婚旅行へ出かけている。
つまり、2週間、推しもとい、弟とこの家で2人きりということ。
正直、俺は秘密がバレやしないかとヒヤヒヤしている。
「あ、そうだ。夕飯の後、本読み付き合ってくれない?」
「それはいいけど。素人の俺でいいのか?」
「うん、翔ちゃん上手いから。それに格好いいし、雰囲気もあるから俳優に向いてると思うんだけどな。」
推しに格好いいと言われる世界線があるなんて。俺は動揺を必死で隠した。
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