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108 カラフルなママのひそひそ話
二階に上がって行ったモエナを見て、ママがリビングにやって来た。
私とホーもママの後ろに付いてリビングへ。
するとリビングの端にあるパソコンの傍に来て、電話をかけ始める。
「もしもし、私。うん、うん。大丈夫よ」
あー、彼氏に電話だ。
さっきまで会ってたのに、もう電話するの。
余程好きなのね、彼氏の事が……。
「モエがさ、友達が裸の写真をネットに上げられたって言うのよ……。うん、それって消せるのかな。あ、そうなの。うん……、うん……。あ、そうなんだ……。じゃあ、やっぱり完全に消すって無理なのかな。うん、うん」
彼氏にモエナの話の相談してるのね……。
前足を私の横で舐めてるホーに言う。
それってそんなに大変な事なの……。
そりゃ、大変な事よね……。
さっきのモエナが撮ってた様な写真がみんなに見られちゃう訳でしょ。
私たちは元々裸だから良いけど、普通はその辺歩けなくなっちゃうわよね……。
「私の写真とか、動画とか、絶対ネットに上げたりしないでよね」
え、今、ママ、何て……。
「あー、別れるって言ったらネットに上げるって言ってたわね。大丈夫よ、私から別れるとか絶対に言わないから」
ママ……。
ママもやってるんじゃん。
ってか、相手が大人だったら大丈夫なの……。
「旦那が見たら、多分死んじゃうわよ」
ん……。
パパさんが見たら死んじゃう程の写真なの……。
それってどんなのかな。
怖いわね、デジタル何とかって……。
「あ、モエナが下りて来るから切るわ」
ママは慌てて電話を切ってた。
「ママ、今日の夕飯って何…」
ママは携帯をポケットに入れながらキッチンに戻る。
ホーはママに付いてまたキッチンに向かってるし。
どれだけ食い意地張ってるのよ。
「今日はお鍋」
「えー、またお鍋……」
ママは野菜を切りながら、
「嫌なら食べなくて良いわ」
ってモエナに言う。
モエナはまたお菓子に手を伸ばして食べ始める。
私もモエナの傍に座るホーの横に並んだ。
今度はくれるわよね……。
そうよね、モエナ。
あの事は黙っといてあげるから。
ホーは必死にモエナに言ってるけど、それって伝わってないし、黙っといてあげるって言っても誰にも伝えられないしね。
「あ、買い忘れたかも……。モエ、悪いけど、鶏肉買って来て」
ママが手を洗いながらモエナに言う。
「えー。良いけど、アイスも買っていいなら」
アイス、ねぇ、今、アイスって言ったよね。
私もアイス食べたい。
ホーが騒ぎ出す。
無駄よ、モエナはアイス買って、食べながら帰って来るし。
家に戻った頃にはもう食べ終えてるし。
「はいはい」
ママはそう言うと財布からお金を出してモエナに渡してた。
「もも肉よ、間違えないでね」
モエナはお菓子で口の中をいっぱいにしながら出て行ったわ。
ママは玄関が閉まる音を聞いてまた電話を取り出す。
「もしもし、ごめん。本当に頼むわよ…。このトシでデジタルタトゥとか恥ずかしくて死ぬわ」
ほら、ママ、やっぱりやってるし……。
「え、あー、良いけど、本当に自分だけにしてよ……。私はずっと好きだから大丈夫だって。うん、うん、わかったわよ。次のデートの時ね。うん。もう、エッチなんだから……」
ママの電話って、本当にエッチよね…。
ホーが私の横で言う。
確かにエッチなんだけど、ママの彼氏はデジタルなんとかってしない気がするわ。
若い子は相手がどんどん変わるじゃない……。
その分、別れた相手の事、適当に扱う気がするし、その分心配なのよね……。
ママくらいのトシになれば大丈夫なのかもよ。
そんなモンなのかな……。
まあ、良いわよ。ママは大人だし、自分で何とかするでしょ。
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