001 カラフルママの秘密

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001 カラフルママの秘密

『吾輩は猫である…』 って話があるってママが言ってた事がある。 残念ながら私は犬らしい。 しかも雌で、どうやら吾輩って訳にもいかないらしい。 私の家。 ご主人様の家になるんだけど、オカモト家。 ママとパパさん。 そして中学生の女の子が二人と小学生の悪ガキが一人。 合計五人家族に私と妹分の犬が。 まあ、大勢で楽しく暮らしてる家って訳なんだけど。 ママ。 とにかく強い。 ママに言われると、この家では逆らう者はいない。 もちろん、私も。 オカモト家のボスだね。 まあ、犬のボスは私なんだけどね。 パパさん。 このオカモト家の主…なんだと思うけど…。 とりあえずね。 このパパさんだけ「さん」付け。 何故かって言うと、それは簡単で。 「他人っぽい」からなんだよね。 残念ながら誰一人として馴染んでない気がするの。 もちろん私もね。 中学生のおねえちゃんのワカナ。 妙に大人っぽい文化系の女の子。 勉強も出来て、家のお手伝いもちゃんとやってる。 私たちの事も可愛がってくれるし。 私は好きかな。 妹のモエナ。 中学生になったばっかで、まだまだガキ。 少しずつ女っぽくはなってるんだろうけど、私の足元にも及ばないわね。 最近毛が生えて来たって騒いでたけど、私なんてかなり前から…。 私の話はいいわよ…。 末っ子のケンサク。 小学生のガキンチョ。 うるさいし、足臭いし最悪よ。 本当にまだ子供。 二人のおねえちゃんに虐められながら、それでも健気に目に涙溜めて反抗してるけど。 将来、どうなるんだろう。私に心配されてもね…。 そんな色んな色が揃ってるカラフルな日々を送ってる。 あ、忘れてた。 妹分のホワイト。 ちっとも白くないのにホワイトって名前。 変でしょ。 尻尾の先が白いの。 しかもちょっとだけ。 だからホワイトだって。 他に特徴なかったのかな…。 それもママがつけた名前なんで、誰も文句言わないし。 そんな事はさておいて、とにかく朝一番から騒がしい家。 ゆっくり寝てらんないのよね。 出来れば「今日のわんこ」の時間まで寝てたいのに。 今日も朝からワイワイ言いながらみんな出て行った。 みんなが出て行ってからじゃないと寛げないのよね。 あ、これは私の意見でもあるけど、ママも言ってた。 最後に悪ガキのケンサクが出て行って、玄関のカギをママがガチャリって音を立てて閉める。 そこで私と妹分のホワイト…みんなはホーちゃんって呼んでるけど。 やっとリビングの陽の差す場所に移動してひなたぼっこ。 しばらくすると、ママが私とホーのご飯の入った器を持ってやって来る。 「ほれ、食え」 毎日そう言って私たちの前にステンレスの器を置く。 そしてママは、リビングの隅に置いてあるパソコンの前に座る。 私とホーはそのママを横眼で見ながら朝ご飯。 ママは薄いコーヒー飲みながら嬉しそうにパソコンのキーボードをカチャカチャ始めるのよね。 最近、ママきれいになったわよね…。 うん。 私もそう思った。 化粧の時間も少し長くなったし…。 そうよね。 脇毛もちゃんと剃ってるし。 冬場はほったらかしだったのに…。 やっぱりアレかな…。 うん。 そうね…。 私とホーは気付いてる。 ママに男が出来た事を…。
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