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 ヤタツは翌朝、集まった仲間にまず少女から貰った酒を振舞った。  レンとアレジもそこそこ飲んだが、ギザはもうご機嫌でぐびぐびと喉を鳴らして甘い酒を味った。 「美味いなぁ、こりゃあ上等だ」 「米の酒も麦の酒もうまいが、この酒は舶来品ではないか?」 「陽にかざすと見たこともない淡い茜の色になる」    三頭が酒瓶を回してそれぞれの分け前分を飲んでしまってから、ヤタツは昨夜の娘の話を聞かせた。 「それは気の毒な話だ」  とまずレンが同情した。 「娘はなぜ逃げないのだ。獲物が獲れないからか?」 とアレジは赤い顔をさらに紅潮させて言った。 「娘の相手を丸呑みにしてしまえばいい、そうすれば思い悩む必要もなくなる」  ふだん、温厚なギザはすっかり目が座って物騒なことを言い出す。 「人を襲えば山狩りだ。森に住む仲間がみんな炙り出されて殺されちまう」  ヤタツは慌ててギザを止めた。 「人には人の掟があるんだろう」  とアレジは冷静だ。 「哀れだがどうしてやりようもない」 とレンも同意する。 「やっぱり丸呑みに……」 「ギザは黙ってろ」  ヤタツは一同を見回した。 「それよりオレに考えがある」  ヤタツは婆様から聞いた昔話を思い出した。 「ちょっと準備がいるが、お前ら力を貸してくれるな?」
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