殺し屋の恋模奇譚

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「レノ…」 指を絡めてまた唇を重ねてゆく。徐々に失われてゆく体温を指先で感じながら、何度も口付ける。 ふいにレノへぽたりと雫が落ち、天井を見上げるが何も無く俺は自分の頬に触れれば頬が濡れている。これは何だろうか… 服を着てからレノを置いてBARへと帰る。帰れば御主人様は店を閉めて居た客を返して俺を自分の寝室へと連れ込み犯してくる。 御主人様は気持ち良さそうに俺を抱くけれど、俺は何も感じなくて俺に腰を振る御主人様を見つめていた。 「良い子だね…ずっと良い子でいなさい」 中で御主人様の白濁が注がれた瞬間俺は御主人様の胸にナイフを突き立てていた。自分でもよく分からないが、他の男の白濁を注がれるのが嫌でたまらない。 御主人様は俺に恨み言をつらつらと並べ立てて事切れた。既に息絶えた御主人様の元に居る事も無いのでホテルへ戻ればまだレノの遺体はベッドの上にあった。 「あった」 玩具の中に手錠を見つけ、俺は目元に化粧を施してからレノの手首と俺の手首と繋げて鍵を飲み込み狐面を付けてレノを見下ろす。 「この感情の答えをお前なら教えてくれるんだろう?」 俺は自分の首を掻き切りレノの隣に寝転がり指を絡める。ゆっくり目を閉じてゆき遠くで扉が開く音を聞いた。 もう俺には関係ない事だと思いながらも誰かに抱き上げられたような気がしたが、重たくなった瞼は二度と開く事は無かった。
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