殺し屋の恋模奇譚

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犯罪者の多い大都市凍京。日夜殺人事件や違法取引など暗い話題がテレビを賑わせていて、警察官でさえ犯罪に手を染めるものも少なくない。 「いやだっ…やめてくれ!いくらだ?いくら払えば助けてくれる!?」 とある資産家の豪邸の寝室で、眠る資産家の上に布団の上から馬乗りになって懐からナイフを取りだし月明かりに照らされる最期の寝顔を見つめていた。だが気配に気付いたのか目を覚まし、喚きたて始めたのだ。 いくら喚かれようが使用人や家族は気絶させてある為駆けつける危険は無い。だからこそ見下ろしていればだんだん青ざめてゆく。 「貴様!!濡れ狐か!誰か助けに来ないか役たたず共め!!」 散々喚きたて俺の事を濡れ狐と読んだ男の口を塞ぐ。俺は仕事の時はいつも下半分の狐面をつけていて、何時の頃からか濡れ狐と呼ばれるようになっていた。 俺の手を掴み爪を立てながら力を込めて離させようとしているが、俺は御主人様からの命令を思い出す。できるだけ残虐に、恐怖を与えてからと言われているのだが。 ナイフを顔に薄くあて目を細めながら皮を剥ぐように押し当てて少し切れば白目を向いて失禁してしまった。手もドサッとベッドに落ち、腕から流れる血を見つめてから首を一瞬にして掻き切れば血が吹き出して当たりを赤く染めあげた。
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