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幸せそうに食べていたが、パンケーキを刺したフォークを咥えてからじっと一点を見つめていてチラとそちらを見ればカップルが食べさせあっている。
その目は羨ましいとありありと物語っていて、口に入れていたパンケーキを食べ終わってからため息をついている。
目の前の男が使っていないフォークがまだあり、それに手を伸ばしてパンケーキに乗るイチゴを刺して差し出してやれば目を見開いたがぱくりと食いついた。
「うっま!あ、名前聞いてなかったな…俺はレノ・フォルナシス!あんたは?」
「教える名など無い」
「なんて呼べばいいかわかんねーな…」
「オルクスと…呼ばれた」
頭を掻きながら言われ思い出した事を告げる。御主人様に時折呼ばれる名前。基本的においでとか言われるばかりだけれど、時折俺の事をそう呼ぶ。行為の最中呼ばれた事など一度も無いけれど…
「綺麗な良い名前…」
俺はほとんど呼ばれないこの名に感慨も思い入れも無い、無くしても構わない呼称でしかない。だがレノは俺の名を知れたのを嬉しいのか頬杖をついて幸せそうに見つめてくる。
コーヒーも飲み終わり暇を持て余していたが、レノを見ればスイーツを食べてゆく。視線をスイーツに向けていればスイーツは減らず、レノに視線を向ければまた食べ始めた。
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