殺し屋の恋模奇譚

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鳥のさえずりで目を覚ませばカーテンの隙間から陽が差し込み部屋全体が明るくなっていた。部屋全体がシックな雰囲気で、高級感が溢れている。 この居住スペースは二階にある為一階へ降りる階段へ続く扉を鍵を使って開けて出てからまた鍵を閉める。コンクリートが剥き出しの壁に鉄板の階段を降りて店内のバックヤードへ降りる。 ほとんど物が置かれていない通路を歩いて店内へ続く扉を開ければ、サイフォンを使い珈琲を入れていた。 「おはようございます。買い物をお願いします。こちらにメモがありますので」 御主人様にメモと黒革の長財布を手渡され、それを受け取り表から出てスーパーへと買い物に行く。道中何度サイレンの音を聞いたかわからないが、それも日常茶飯事。 メモされた野菜や果物を買い、会計を済ませて帰路へ着く。両手にスーパーのビニール袋を下げて歩いていれば前方から悲鳴が聞こえ、そのまま歩いていれば角を曲がって一人の男が走ってきた。 まだ若そうな男で、血の着いたナイフを振り回して走っていてその背後から警察官らしき男が走ってきているのがチラと見えた。 「どけてめぇぶっ殺されてぇのか!!!」 周りが避けるのに避けない俺を見て苛立たしさを全面に出して、ナイフを向けて走ってきた。
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