むずむず病

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 えーちゃんの『むずむず病』は、しばらく続いていた。でも、その症状が僕には全くわからないから「そうなんだ」としか言えない。  そんなある日、『その日』は突然やってきた。 「ぼく、旅に出る!」 「ええっ⁉︎」 「もう、じっとなんてしてられないんだ!今すぐ、もう飛んでいきたい!」 「ちょっ、ちょっと待ってよ、えーちゃん」 「ごめん、この衝動は抑えられないんだ!さよなら」  言うが早いか、えーちゃんの姿はあっという間に見えなくなった。 「……えーっ⁉︎」  僕の叫び声は、えーちゃんに届いただろうか?  えーちゃんがいなくなって、ぽっかりと穴が空いてしまった。
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