むずむず病

　えーちゃんがいなくなった悲しみにくれる間もなく、異変は続いた。
　えーちゃんだけじゃなくて、周りのみんなにも『むずむず病』が始まったのだ。

「なんだろうね？」
「ソワソワする」
「ごめん！僕も旅立つね」

　仲の良かったしーくんも旅立ってしまった。

「待ってよ、みんなぁー⁉︎」

　叫んでも声は届かず、みんな次から次へと飛んでいってしまった。
『むずむず病』が何だかわからない。
　だけどそんな中。
「大丈夫。私もまだ『むずむず病』じゃないよ」
　隣でいっちゃんが優しく声をかけてくれた。

「みんな、どこに行っちゃったんだろうね？」
「……わからない。『むずむず病』の衝動は抑えられないみたいだもんね」

　とにかく「むずむずソワソワする」そう言ってみんな旅立ってしまった。その症状が出ない僕には、その衝動が全くわからない。ここで、みんなで仲良くいたいだけなのに。