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さらに彼は、怪我をしてもほとんどその場で治ってしまった。長命種は、地球人がかかる病にはほとんどかからず、体を切断されたり、巨大な凶器で貫かれたりでもしない限り怪我もすぐに治ってしまう。
食事も、本来2週間に1度程度で十分なため、毎日出される食事のほとんどを、彼は食べることができずに残した。すると、食事が不満なら食べなくていいと言われ、まともな食事を出してもらえなくなった。
里親たちは成長もせず、怪我もすぐに治り、ろくな食事も摂らずに生きていける子供が、ただ不気味で仕方なかったのだ。そしていつしか彼は家中の者から疎まれ、親類の家に預けられることとなった。
しかし、そこでも状況は変わらなかった。預け先であった親類の家でも彼は気味悪がられ、疎まれ、さらに別の家へと出されることとなった。
彼はそうして親類の家をたらい回しにされながら、次第に虐待を受けるようになっていいったのだった。
ある時彼は、なんの当てもないまま、家から逃げ出し、ひとりきりで各地を彷徨い歩いた。病気にもかからず、食事は少量で事足り、怪我もほとんどその場で治ってしまうという生態を持つ長命種だったからこそ、生きていられたのだと言わざるを得ない。
それでも、満足に休息を取ることも、食べることもできなければ、長命種といえども衰弱するのは当然だった。彼は骨と皮ばかりになるまで痩せ細っていったのだった。
そんな道中で、彼は時折通りすがりの地球人に拾われながら生きた。
使い減りしない便利な労働力としてこき使われたかと思えば、成長せず、怪我もすぐ治ってしまう子供として見せ物にもされた。
死ぬことも考えたが、長命種に与えられた強靭な生命力が、それを許さなかった。
そんな生が、100年以上続いた。
体は多少成長したが、それでも彼は依然としてなんの後ろ盾もない、非力な子供でしかなかった。
変わらず周囲の人間たちに使い捨てにされる日々の中で、彼はあるひとりの男に出会った。
立派な身なりの彼は、成長せず、怪我もすぐに治ってしまう子供として見せ物になっていた彼の噂を聞きつけてやってきたのだった。
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