2.

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 最後の反撃を警戒し、2人は獣の攻撃範囲に入らないままなおもしばらく待った。完全に獣がこと切れているのを確認すると、2人はようやく構えていたライフルを下ろした。  2人はすぐさまライフルに安全装置を掛けると、先ほど隠れていた場所に置いてきた荷物を持ってきた。  ライフルをそっと傍らに置き、中から鞘のついた大振りのナイフを取り出すと、2人がかりで獣を仰向けにする。  獣の亡骸の傍らに膝を突くと、2人は少し手を合わせた。  それから素早く獣の血抜きをし、腹を裂いて腸を取り出してゆく。地球の獣とは異なるこの世界の獣だが、毒なども持っていないため、仕留めれば肉を食料にすることができるのだ。  結局、2人で食べるには多すぎる量の肉が獣からは取れたが、転移装置を持ち歩いている2人にとって、地球上の家や、この世界の拠点に戻って獣の肉を冷凍保存しておくことは困難な作業ではなかった。  おそらく体重は100キロを超える個体だと思われたが、2人は丁寧に獣の皮を剥ぎ、肉を余すことなく切り出した。それが、自分たちが狩った獣に対する礼儀だと、2人は思っているからだ。  切り出した肉のうち、冷凍にできない分は知り合いに分けたり、干し肉にしたりして長期保存が可能なように加工する。そうしたことも、長く猟師を続けてきた2人が当たり前に持ち合わせている技術だった。  
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