嘘つき

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    三  そうして知られていくにつれ、相手の中には私の人物像というものが出来上がっていくでしょう。  そうなると、私は相手との関係を、全て白紙に戻してしまいたくなります。いっそ私のことを知る人が、誰も居ない場所へ移って、周囲の人間関係を一から作り直したくなるのです。  何故なのか──。恐らく、相手の中に出来上がったであろう私のイメージに対して、「違う」という思いがあるからだと思います。嘘をつけなくて本当のことを答えてしまう、などと言いながら、その結果出来たイメージに「それは、私ではない」と。  私は、自分ではない他の人間の中に、理想の自分を投影しようとしているのかもしれません。   〈了〉
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