リーチェからのプレゼント

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 ***  三月。  卒業式の日には、卒業式以外だとホームルームくらいしか行わない。よって、その前の日が最後の授業の日となったのだった。その日はお別れ会が予定されていた。お別れ会では、みんなが予め用意していたプレゼントを交換することになる。  私たちの学校はとても小さいので、小学生はみんな一つのクラスに集まって一緒に授業を受けている。  一年生が、一番幼いナナホちゃん。  二年生が次に小さいリオくん。  三年生は現在誰もいない。  四年生はセイくん、カイくんの双子の兄弟。  五年生は私。  最後に六年生が、ちょっと大きな家に住んでいるお嬢様のヒナちゃんだった。児童はこの六人だけだったというわけである。ヒナちゃんはこの学校最後の卒業生というわけだ。 「みんなが用意してくれたプレゼントは、此処にあります!」  先生が教卓の上に乗せたプレゼントを指して言った。担任の、松原奈央子(まつばらなおこ)先生。この学校で数少ない女性の先生に、私たちは本当にお世話になった。生徒の数が少ないからといって、喧嘩やいじめが全くないわけではない。トラブルが起きるたび先生は真摯に取り組んでくれて、時に体調を崩すほど一緒に悩んでくれたと知っている。  そんな松原先生とも明日の卒業式でお別れ。今日が最後の授業だと思うと、なんとも寂しい気持ちになる。 「本当は全員でプレゼント交換したかったんですが……今回は仕方ありませんね。ナナホちゃんの風邪が早く治ることを祈りましょう」 「はぁい……」  一番小さなナナホちゃんはよりによって今日風邪をひいてしまい、学校に来ることができなかった。本人もさぞ無念だったことだろう。せっかく用意していたプレゼントも渡すことができなかったのだから。もともと彼女はあまり体が丈夫ではない。  せめて明日の卒業式までに治っていればいいのだけれど。私たちにできるのは、そう祈ることだけだった。 「今回のプレゼント交換のルールを説明しますね。まず、先生がみんなに一つずつ、ランダムでプレゼントを配ります。あ、皆さん言われた通り、メッセージカードとかは入れてませんね?」 「はーい!」 「よろしい。誰からどんなプレゼントが来るかわからない、のがこのプレゼント交換の面白いところですからね!みんなに一つずつプレゼントを配ったら、円く並べた椅子に座ります。で、先生が音楽を流しますので、音楽が流れている間、みんなはリズムに乗ってプレゼントをどんどん左の人に流していってください。適当なところで音楽を止めるので、その時点で持っていたプレゼントを受け取って中身を見てくださいね!」
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