リーチェからのプレゼント

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リーチェからのプレゼント

 地方の村にとって、どうしても避けられない問題が一つある。それが過疎化だ。子供の数が減り、人口が減り、町や村がなくなってしまうようなことも存在する。また、お店なんかも採算が取れなくなり、閉店してしまうようなこともあるだろう。  私たち小学生に降りかかったのは、通っていた学校の廃校という現実だった。 「嫌だよお……」  弟のリオくんはまだ二年生。ぽろぽろと涙を零して、二年通った学校の廃校を惜しんだ。 「だって、学校のみんなと離れ離れになっちゃうんでしょ?遠くの町にお引越ししちゃう子もいるし、みんなバラバラの学校に通わなくちゃいけないんでしょ?僕、隣の町の遠い学校になんて行きたくないよお……!」 「私だって嫌だよ、リオくん」  私も泣きたい気持ちでいっぱいだったが、弟の手前気丈にふるまうことにした。だって、私は来年六年生になるのだ。六年生といったら、中学生の一歩手前、かなりのお姉さんである。お姉さんは簡単に泣いたりなんかしないのだ。もう、小さな頃の泣き虫な私ではないのだから。 「でも、もう変えられないんだから受け入れるしかないんだって。せめて、みんなとお別れする最後の日まで楽しく学校に通うことにしよう?そんな泣いてる顔でいたら、みんなも悲しくなっちゃうし、大好きなドッジボールもできなくなっちゃう。それでいいの?」 「……よくない」 「でしょ?だから笑って。最後の日まで、みんなと楽しく過ごすことにしようよ。大丈夫だって、他の町に行っても、死んじゃうわけじゃないんだから。会いにいくこともできるし、年賀状とかメールとかもできるんだから、ね?」 「……うん」  いい子だ、とリオくんを抱きしめながら、私は涙をこらえた。  彼に言った言葉は全て、自分自身に言い聞かせている言葉でもあったから。
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