第13話『アイリの変化と、ディアの求婚』

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さらに数日後、ついに魔王と王妃が1年ぶりに魔界に帰ってきた。 ……異世界の特産品など、大量の『お土産』を持って。 やはり、このラブラブ夫婦は、二人で異世界旅行がしたかっただけなのだ。 魔王の私室へと繋がる居間では、魔王と王妃がソファに座っている。 その横には側近のディアも立っている。 魔王が帰ってきたので、ディアは魔王の側近に戻ったのだ。 その正面のソファにはアイリとコランが並んで座る。 この1年間の出来事を報告するためだ。 「あぁ?魔獣界?魔獣王?なんだそりゃ!?」 魔王は予想通りの反応をした。 不在の間の出来事が濃厚すぎて、すぐに理解を得るのは難しそうだ。 魔王はアイリとコランではなく、まずディアを睨みつけた。 「ディア、テメエいつから王を名乗るほど偉くなった?元々オレ様の側近だろうが」 「……はい。メインは側近ですが、サブで魔獣王もさせて頂きたいのです」 ディアはこれからも魔王の側近だが、魔獣王という肩書きも増えるという意味だ。 そんな、副業かバイトみたいなノリで魔獣界の王をやるのか…… 誰もがツッコミたくなる魔王とディアの会話である。 「まぁ、それならいいぜ。ほどほどにしとけよ」 「承知致しました。ありがとうございます」 それで許可するんかい!とは、誰もツッコまない。 魔獣王を『ほどほどにする』とは、どういう事なのだろうか……。 ほどほどに力を抜いて魔獣王をやっても、魔獣たちやエメラに失礼だ。 まぁ、これで魔獣王の件に関しては魔王の許可が下りた。 そして極め付けは、アイリの懐妊の報告だ。 今度も魔王はディアを睨みつける。 「オレ様がいない間に、ヤってくれたなぁ……ディア」 「恐れ入ります」 「褒めてねぇよ」 怖いもの知らずのディアは、魔王に対しても怯まない。 魔王の隣に座る王妃アヤメは驚いた顔をしつつも、すぐに微笑んだ。 「あら……もう孫が生まれるの?ふふ、嬉しい」 見た目17歳のアヤメがそれを言うと、なんだか奇妙だ。 まぁ元々、アイリとディアの仲は魔王も王妃も認めている。 幸せそうに照れて微笑むアイリの左手の薬指の指輪を見れば、それも納得できる。 アヤメがニコニコしながらディアをフォローする。 「でも、オラン。私も正式な婚礼の前に懐妊したよね」 「……あぁ?そうだったかぁ?」 「もう、オランったら……とぼけたら、めっ!」 手が早いという意味では、魔王の右に出る者はいない。
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