待つこと5分ちょい

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待つこと5分ちょい

 彼女は、自分の机だけでは足りないと思ったのか、前の席の子の椅子を退けて自分の机を前に押して前の子の机とくっつけた。自分の椅子は机と机の境目に横付けて、そのままそこに座る。そして箱からパズルのピースを出し、やり始めた。  待つこと5分ちょい…。 『なぁなぁ、ここ。ここのピースないねん。』 と、1ヵ所だけ空いている場所に指を指す。 『1ピースだけないねん。知らん?』 僕の顔を見て聞く。 「………。」 無言の僕を見て、ちょっと驚く。 『な、何?どしたん?大丈夫?急に顔赤くなってるけど!』 「えっ?顔、赤くなってる?」 『うん。顔、鏡で見てみる?』 「あー、ありがとう…いいわ。自分で理由分かってるし。」 『そうなん?それやったらいいけど…。しんどい訳と違うんやんな?』 「うん。しんどいんとちがう。心配してくれてありがとう。」 頷く彼女。 『…で、最後の1ピース知らん?』 と言いながら、また1ヵ所だけ空いている場所に指を指す。 「………。知ってる。」 小さい声で、ぼそっと答える。 『へっ?知ってんの?小さい声でぼそって言うから聞こえづらいわ。』 「ごめん…。」 『で、どこにあんの?最後の1ピース。』 僕は、彼女と反対の方を向いて制服の上着の内ポケットに手を突っ込んでパズルのピース…1ピースを取り出す。そのままの状態で手だけ彼女に差し出す。 『何や~!持ってたんや~!…で、でも、何で?!』 僕は、彼女と反対の方を向いたまま答える。 「パズルのピース見てくれる?」 僕の顔は更に赤くなり、耳・首が赤くなっていくのが分かる。 彼女が渡したパズルのピースを見たのが視野の端で分かる。 「えっ?ピースにかいてある…〈好きや〉って。」 僕の身体が赤くなっていくのが分かる。 取りあえず、最後の1ピースを空いている場所にはめる彼女。 『出来たで~!ほら、見て~!』 彼女の反応が思っていた反応と違って、拍子抜けしてしまった僕。気を取り直して彼女の方に向き直り、出来上がったらパズルを見るのに近づいた。
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