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そのうち
航が他の先生と夕食を食べてくることが多くなって
夕食を作るのをやめた。
毎週は行かないようにしているけど
金曜の夜は
私にとって何より幸せな時間。
今夜着ていくのは
小花模様の淡いピンクのワンピース。
航が好きそうな服だ。
トレンチコートを羽織り
ドレッサーに姿を映して
口紅をもう一度付け直した。
部屋をそっと抜け出し
軋むフロアーを警戒しながら
玄関でヒールを履き
静かに鍵を解除してドアを開ける。
サッと外に出ると
初春の冷たさが体を包んだ。
ドアをそっと閉めて
外から鍵をかけ直し
アスファルトの道を走り出した。
父は
普段何も話さないくせに
夜の11時の門限だけはうるさい。
飲み会に行っても
11時の門限を守らないと機嫌が悪くなる。
私は24才、もう子供じゃない。
航の部屋に外泊だって何度もしてる。
かまうものか。
午前0時過ぎ
門限を破って私は航のもとへ走る。
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