あなたに会いたい

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「私、結婚するかも」 私の言葉に お蕎麦を食べていた母の手が止まる。 「え、いつ?どんな人?」 「うん、職場の人」 「まさか先生?」 「うん」 「良かったじゃない! 歯科医師ってお金持ちなんでしょ? 将来が安心だわぁ。 いつから付き合ってたの?」 「う〜ん、1ヶ月前くらい?」 「…あんまり付き合ってないじゃない。 大丈夫?」 母の顔が少し曇る。 「先生がもう30前だしね」 「…そっか、美月が結婚…」 母は少し含みを持って笑った。 「わかってたよ、お母さん」 「え?」 「美月に誰かいるんじゃないかって」 「うそ! なんでわかったの?」 「最近、美月の雰囲気が明るくなったしね」 「うっわ〜 診療所にもバレたかな?」 「どうかな? お母さんは親だから気づいたのかも」 「先生から 『結婚の日程が決まるまで皆にはナイショな』 て言われてたのに。 バレてたら困る〜」 「ホントに困ってるの?」 片付けるのに どんぶりを持って席を立った母は 笑いながら私の背中をツンツンと押した。 さすが、母親の勘はあなどれないな。 今度航と会った時 航の両親に会う日を決めることになってる。 航の両親に会った後 この家に航が結婚の挨拶に来る…。 思わず顔がほころんだ。
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