あなたに会いたい

6/24
前へ
/24ページ
次へ
「先生の言うことは絶対だから」 を言い訳にして 淡い期待も込め 私は、誘われるままに 先生のマンションに食事を作りに行った。 マンションの入り口でインターホンを押して エントランスの中に入る。 ガラス張りの広いエントランスの中央には 豪華な花のオブジェが飾られていた。 先生の部屋に行くと 全体がモノトーン調のデザインで 玄関もキッチンもどの部屋も広かった。 ワイン多めのビーフシチューを煮込んでいる間 温野菜のサラダを作り フランスパンにバターを挟んで焼いた。 先生はテーブルに座って 時々料理している私に話しかけ 料理が出来上がると 嬉しそうに並んで食べた。 「次は、和食をリクエストしていい? そうだな… 筑前煮と焼き魚とか?」 「…はい」 先生の話を笑いながら聞いて 短い言葉で返すことしかできない。 なんで もっと気の利いたジョークとか言えないんだろう。
/24ページ

最初のコメントを投稿しよう!

9人が本棚に入れています
本棚に追加