偽りの私

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偽りの私

数時間経つと 「ただいま」 と遠くで声がした。父が仕事から帰ってきたようだ。 玄関まで行くと、やはり父だった。いや父しか帰ってくる者は居ない。 「お帰り!」 父は、母が亡くなってから冷たくなった。昔はあんなにも優しかったのに、、、。 「ご飯作っといたよ〜!」 私がそう言うと 父は黙ってダイニングルームに行った。 いつもの事だ。 家ではほぼ誰とも喋らない、それが我が家での普通。 「ねーちゃん」 弟の結城(ゆうき)だ。 「どした〜?」 「あんさ」
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