24 さくらを追いかけて

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 憧れの人の夢を奪った過去を知られるのが恐くて、逃げるように背を向けてしまった。  一瞬だけ見えた背表紙から何の写真集だか分かるなんて、好きだった人間でないとありえない。  佐倉が憧れの写真家SAKURAだったことが分かったが、もっと問題が大きくなってしまった。  知られたら恐いどころか、夢を奪った張本人だったなんて、最低だと罵られて殴られるくらいの話だ。  殴られて許してもらえるならいいが、二度と関わりたくないと言われてしまったら……  それを考えたら梶の背中は寒くなって、心臓が軋んで痛くなった。 「お願いです。未春の居場所を教えてください」  今度は向こうが頼んでくる番になっていた。  夕貴の様子を見た梶は、あることに気がついた。 「……そういえば、足は治っているんですか?」 「事故直後は上手く動きませんでしたが、リハビリして一年後には歩けるようになりました。たまに痛む時はありますけど、日常生活に支障はありません。走れるし、大丈夫なんです。だから……」 「治療費、か……」 「そうなんです。毎月毎月……もう大丈夫なのに、心苦しくて……。でも唯一繋がっている線だから切ることができなくて……。両親が僕のためを思って別れるように迫ったのを聞きました。あの時は僕も動揺していて、仕方ないと受け入れたんです。でも……何も言えずに別れることになるなんて、どうしても辛くて……ちゃんと謝りたいんです。ずっと未春を探していたんです」  佐倉から聞いた話とはずいぶん方向が違うことになっていた。  おそらく罪悪感から、必要以上に恐れられていると思い込んでしまったのだろう。  焦った様子で必死な顔をしている夕貴も、あの時のまま、時間が止まっているように見えた。 「ひとつ、いいですか? 二人は運命の番だと聞きました。今は結婚していますか?」
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