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3 偶然の出会い
夕貴に出会ったのは、大学二年の頃だった。
人数合わせて参加した飲み会で隣同士になった。
同じ大学だが夕貴は一年後輩だった。
それに写真専攻だった佐倉とは違い、夕貴はデザイン学部だったので、大学内では校舎も違ってほとんど接点がなかった。
夕貴は背が小さくて手足が細く、ふわふわの髪に小動物のような大きな瞳で可愛らしい顔をしていた。
思わず守ってあげたくなるような可愛さと、ほのかに香るフェロモンで、彼がオメガだということはすぐに分かった。
向こうも同じだった。
君、アルファでしょう? でも不思議な匂いだね。
そう話しかけられたのが最初だった。
「……め、………俺の……せいだ、ごめん……」
夢が現実か分からずに目蓋を上げると、低い天井があった。
毎朝起きるたびに、あぁ今日も目が覚めてしまったと重い気持ちになる。
夢を見た。
もう何度も見ている夢だ。
謝っても謝っても、相手には届かない。
これも自分が受けるべき罰なのだ。
この先も、ずっと……
重い体を起こした佐倉は、息を吸い込んでから深く吐いた。
頭痛がするけれど、休んでばかりはいられない。
支度を始めるために布団から出た。
ヤマノクリーンは元々この地域で細々とやっていた会社だった。
しかし経営難に陥って、社長同士が知り合いだったとかで、梶グループの傘下に入ったそうだ。
ビル内に事務所を移して、出資を受けて従業員も増えた。
社長は早番で顔を出すことが多いので、佐倉は普段あまり会うことがない。
その代わり佐倉の出勤する時間は、若社長と呼ばれている泰成が取り仕切っている。
梶グループ以外の仕事も多く請け負っているので、その調整をしたりヘルプに行ったりと、泰成も忙しそうだ。
「ほら、仕事始める前に飲んでおけ」
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