26 あなたの幸せ

6/6

709人が本棚に入れています
本棚に追加
/161ページ
「短かったけど、ちゃんと話し合えた。直接謝ることもできたし、受け入れてくれた。二人は幸せそうだったし、これでやっと俺も前に進める」  よかったなと言って梶は佐倉の頭をくしゃくしゃと撫でた。  梶に触れられて、緊張していた心も体も解れていくのを感じた。 「ん? もしかして、これは例のか?」 「……そう。いいって言ったんだけど、絶対受け取れないからって置いて行かれてしまった」  佐倉の前には、机の上に厚みのある封筒が置かれていた。  飛んできた花びらが封筒の上に載って、また吹いてきた風で空に舞い上がった。  それを見ながら梶が手を握ってきたので、佐倉も優しく握り返した。  花びらが飛んでいく様子を二人で静かに眺めた。  □□□
/161ページ

最初のコメントを投稿しよう!

709人が本棚に入れています
本棚に追加