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「短かったけど、ちゃんと話し合えた。直接謝ることもできたし、受け入れてくれた。二人は幸せそうだったし、これでやっと俺も前に進める」
よかったなと言って梶は佐倉の頭をくしゃくしゃと撫でた。
梶に触れられて、緊張していた心も体も解れていくのを感じた。
「ん? もしかして、これは例のか?」
「……そう。いいって言ったんだけど、絶対受け取れないからって置いて行かれてしまった」
佐倉の前には、机の上に厚みのある封筒が置かれていた。
飛んできた花びらが封筒の上に載って、また吹いてきた風で空に舞い上がった。
それを見ながら梶が手を握ってきたので、佐倉も優しく握り返した。
花びらが飛んでいく様子を二人で静かに眺めた。
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