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梶は背中を丸めて小さくなって、そうだと伝えてきた。
自分がSAKURAの賞を奪い、コンテストを台無しにしてしまったとして梶は負い目を感じていた。
荒れていた時期、というのはそのことだったのかと佐倉は息を吐いた。
とにかく事情が分かって、少し気持ちは落ち着いた。
「その……あの女は他に何か……」
「俺を智紀の友人か何かだと思って、また会わせて欲しいって、冷たくされるのが好きなんだとさ」
ちょっといじわるく言ってみたら、梶は息を吸い込んで顔に手を当てていた。
自信たっぷりの男が慌てている姿を見るのは可愛いと思ってしまったが、胸にチリっと焦げるものがあった。
覚えのある感情だが、あの時よりも甘く胸は揺れていた。
動揺している様子の梶にゆっくり歩み寄って、シャツの袖を掴んでツンと引いてみた。
「冷たくって何だろうな? 俺とする時は、しつこいくらい甘ったるいくせに。少なくとも俺は裸で放り出されたことはないし、服だっていいって言うのに、いつも着せてくるし……」
「待って、待ってくれ。違うんだ、確かに俺は最低なことをしてきたが……あの頃は色々とおかしくて……未春に出会ってやっとまともに戻れたというか……」
汗を流してしどろもどろになっている梶がますます可愛く思えてしまった。
クスリと笑った佐倉は、梶の胸元に顔を寄せてシャツの上から唇を寄せた。
「冷酷な氷王子」
「な、なんだ、それは……」
「自分の部屋でしかヤレないってなんの話だ?」
「あっ……あの女……そんなことまで……」
教えてくれるまでやめないぞという意味を込めて、下半身を押し付けていやらしく揺らした。
こういう時、自分は攻めだったなと佐倉は思う。可愛らしい梶の顔を見たら自然と体が動いてしまった。
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