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2 変わらない日常
運命なんてクソだ
運命のせいで何もかも奪われた
運命が悪いんだ
運命のせいで俺の全ては…………
いや
運命なんかじゃない
本当は全部
自分のせいだ
一日休みをもらって、いつも通り出勤すると、事務室の休憩用のテーブルの上に泰成がお菓子を並べていた。
「社長から、旅行のお土産だって。たくさんあるからさ、佐倉も食べていけよ」
「ありがとうございます」
ぼんやりしながら、色とりどりの包装紙に包まれたお菓子を見ていたら、腕を組んだ泰成がため息をついてきた。
「あんな事があって、めちゃくちゃになっていたお前を拾ったけど、ちゃんと叔父さん達とは連絡を取っているのか? 誰にも知らせないでくれってお前の希望はもちろん守っているけど、そろそろ心配しているんじゃないか?」
「手紙は……送っているので大丈夫です。これ以上は心配をかけられないし、落ち着いたら……いつかは顔を見せに行く予定です」
「いつかって……まぁ、無理強いはしないけどよ。昔は誰もが振り向くイケメンだったのに、そんなに痩せちまって……。なんでもいいから腹に入れろ。またうちに来てもいいし、芽衣も喜ぶからさ」
ただ息をしているだけ。
泰成は行くあてのない佐倉に声をかけて、うちに来いと誘ってくれた。
泰成は既婚者だが、部屋が余っているからとしばらく佐倉を家に置いてくれた。
当時は三歳だった芽衣ちゃんも、小学生になったと聞いた。
時の流れを感じたが、さすがにもうそんな迷惑はかけられない。
「それなら、今度奥さんの手料理をご馳走してもらいにいきます」
「おう、いつでも来てくれ。お前見てると、ハラハラしてこっちが胃に悪い。もうそろそろいいだろう、早くいい人を見つけろって」
そう言って泰成は佐倉に弁当を渡して来た。
ヤマノクリーンでは、遅番勤務には弁当が付いてくる。
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