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「ほんとにしょうがないなぁ。本人の立っての希望だったから、試しにやらせてみたけど。指南役が一番溺れてちゃ駄目だろ。…全く、このままじゃ家に帰せないよ。仕方ないなぁ、この性欲を何とか鎮めてやらないと。やるか、僕たちで」
最後に付け加えた言葉が何とか意識の端に引っかかって、夢中で大声を上げて彼らのぼんやりした姿に向けて両腕を差し伸べた。
「ああっ、やってぇ…。ご当主さまたちの、あれで。代わるがわるいっぱい、思いっきり中突いてぇ、あたしの…」
「はぁ。…しょうがない子だなぁ、もう」
両腕を頭の上に持ち上げられ、両脚を全開にしてその両脇まで思いきり掲げられ。手首と足首を布で括られながら、嬉しさと恥ずかしさで恍惚となって。…これだけで、もう。いきそう…。
「…ほら、エッチな姿になった。若い子たちの後学のためにこれ、撮影しとくか。綺羅のどこがよくて、一番感じるとこなのか。…お前は奥の奥まで全開にされて何もかも撮られても、余計に興奮するだけで全然嫌がらないからな。みんなの教材にするには。…ちょうどいいよ…」
もの心ついたごく小さな頃から。わたしは多分生まれつき、エッチなことが好きで好きで、たまらなかった。…もしもこの村以外のどこか別の場所で生まれ育ってたら、と仮にでも想像すると。正直ぞっとなるくらい。
身近な大人たちはみんな、夜になると時折こっそりと交替で外出するのが常だった。息をひそめて布団を被って待っていると深夜にそっと帰ってくる。
翌朝は何事もなかったように普段通りに振る舞うんだけど。当時から異常にその手のことに聡かったわたしは帰宅した彼らのいつにない艶やかさや晴れがましい感じ、そしてうっとりとお腹の奥の歓びの名残を惜しむような様子に気づいていた。
大人は何か、すごく素敵なことを子どもに隠れて愉しんでる。尋常じゃない嗅覚で既にそれを察していたわたしは無性に羨ましくてしょうがなかった。
自分も大人になれば。同じように翌日の朝までうっとりとした余韻が残るほどにそれに溺れるような、素敵な経験ができるのかな。
「…はは、大人になるまでなんて。そこまで長く待つ必要もないんだよ。中学に進めば綺羅にも全部わかるようになる。夜祭家の方々がきちんと何もかも教えて、いいようにしてくれるから。何も心配しないであの方たちに全てお任せしていればいいんだ」
父からにこやかにそう説明され、わたしはお腹の奥が沸き立つように疼いた。
夜祭家の一族。わたしが大好きな、美しくて完璧な人たち。何も知らない小さな頃からずっと、わたしの憧れだったご当主の方々。
凪さんと漣さんはわたしの初恋、といっていいくらい昔から好きで好きでたまらない相手だし。水底さんは、…うん、すごくお美しくて高貴な方。ちょっと雰囲気沈んでて暗くて何考えてるかわからない人だけど。でも、お肌も滑らかすべすべで、思わずぴったり吸いつきたくなるくらい。いつでもとっても綺麗なひとだよ?
何だかわからないけど、大人たちを艶めかせるときめくような歓びが。あの華麗な一族と関係してるんだ、と知ったことで。…わたしの身体の、それまではっきり意識したこともないような変な場所のあちこちが。我慢できないくらいどうしようもなくうずうずし始めて止められなくなってしまった。
何日も昼夜思い悩んだ挙句。わたしはとことこと、一人歩いて夜祭家のお屋敷へと赴くことにした。
成人するまで駄目、とか言われたんならともかく。中学に上がるまでなんて、ほんとにあと二年くらいの間じゃん。
それなら今からでも別に大して変わらないんじゃないかな。何が自分の身に起こるのか、少しでも早く知りたい。話だけでも、見るだけでもいいから。
できるだけガキっぽく見られたくなくてランドセルは隠しておいた。なるべく大人びた澄ました顔つきを装い、わたしは精一杯落ち着いた調子で凪さんと漣さんを呼んでください、とお屋敷のお手伝いさんに頼んだ。
「…何だ、信田さんとこのおちびさんじゃないか。どうした、こんな時間に?迷子にでもなったのか?」
漣さんに軽口を叩かれて、わたしはしゃんと背筋を伸ばしてはきはきと訴えた。
「おちびじゃありません、信田綺羅です。もう11歳になりました。…中学生になったらしてもらえることを今からお願いしたいの。だって、一年や二年早まったって。別にどうってこともないでしょ?」
座敷に通されてお手伝いさんが引き取った途端、わたしは二人ににじり寄ってその膝に手をかけた。
一人は少し驚いたように、もう一人はちょっと面白がるように。わたしを見つめている双子の反応に手応えを感じて、それをいいことにさらに押していく。まずは手近にいた漣さんの膝に大胆に跨ってそこを押しつけ、ほんの少し膨らみかけた胸の存在を主張するようにわざとしなだれかかってみせた。
誰も見てないときにこっそり一人で歓びを得ていたときと同じように。腰を動かして当たったところから快感を得ようとする。…思わず呼吸が弾んで、顔が熱くなってきた。
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