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「私もこの問題を考える前は、デジタルコンストラクトを気軽に利用していました。亡くなった両親に会える、自分の死後もデジタルコンストラクトになって息子や娘にアドバイスしてやれる、そう思っていました。ですが、思ったのです。死んだ人間に会いたい、彼らからアドバイスが欲しい、などというのは残された者のエゴに過ぎないのではないか、と」  残された者のエゴ、その言葉は自分の心を激しく(えぐ)った。 「すみません、熱っぽく語ってしまって。もちろん、ドーセットさんがあくまでビジネスとして、こちらのデジタルコンストラクト保険を私に勧めてくださったことは分かっているんですがね」  パーカーはそう言って苦々し気に笑ってみせた。 「いえ、そんな」  それしか言葉は出なかった。 「まあ、そういうわけでして、今回はご遠慮させてください。なにせ私は両親のデジタルコンストラクトの消去まで考えている始末ですから」  そう言ったパーカーは(ほが)らかに笑っていた。 「そうでしたか」  答えた自分の顔は自分でも信じられないほどに引きつっていた。
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