プールの底から水面を見てみた

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バス停の目の前が白石しのぶの家だった。 1階の半分が父親が営む電機店で、店舗とは別に自宅の玄関があった。東側にある玄関は、思ったより日当たりがいい。 幸弘は少し緊張してベルを鳴らした。 何せ、女の子の家に行くのは初めてなのだ。 オヤジさんに殺されないだろうか? 彼氏じゃないから大丈夫だろう。 骨は拾ってやると言って笑った森山だって、このシチュエーションは緊張するだろ。 今日は、しのぶに頼まれて、勉強を教えるという名目でここへ来た。 が、メインの用事は、和田のことの相談だと判っている。 なんせ、中2から4年間も片想いらしいのだ。 この夏こそ、和田との間をどうにか変えようと、しのぶは焦っているのだ。 だからって、俺に相談されても、和田と幼稚園から一緒で超仲良しと言っても、俺は和田本人じゃないから、どう思うかなんて解りゃしない。 なのに相談を引き受けたのは、同じく俺が片想いしている敦子と、しのぶが大の仲良しだと知ったからだ。 本当のところ敦子の心の中は解りはしないのだけど、的と親しい者が味方だと異様に心強い。 互いの利益が一致しているワケだから、協力し合って、外野から援護射撃も可能かも知れない。 そんなワケで、夏休み期間の土曜だと言うのに、早起きしてここに居るわけだ。 一応、右肩に掛けたトートバッグに、重いのに、勉強の道具を入れて。 玄関のドアが開く。 オヤジさんだったらどうしよう。 お袋さんだ。 助かった。 明るい声で、2階のしのぶを呼んでいる。 同じ2階の弟さんは、まだ寝てるか部活かな? 夏の朝の日射しが、玄関から射し込んでくる。 その時、強い閃光が光った。
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