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蒼汰のスマホから、着信音が鳴り続ける。
瑠衣からのメッセージが連続して届いたのだ。
着信音が鳴るたびに、蒼汰はそのメッセージを読んでいく。
「絶対、志望校に合格できるよ!」
蒼汰も瑠衣のことが大好きで、二人は相思相愛。
受験を前に、瑠衣からのメッセージをもらえて喜んだ蒼汰であったが、
次に届いた2通のメッセージを見て、思わず首を傾げてしまう。
「でも、私はそんなことないと思う」
「奇跡なんて起こるはずがない」
確かに蒼汰は背伸びをして、難易度が高い学校を受験する。
大好きな恋人からこんなことを言われてしまい、ショックは隠せなかった。
「周りのみんなは無責任に言うよね」
「夢は大きく! 目標は高く! 自分の力を信じようよ」
「そういう考え方って、私は間違っていると思う」
受験を前に、大好きな瑠衣からここまでキツイ言葉を連続して浴びせられ、蒼汰は頭がクラクラしてきた。
それでも、蒼汰が手に持っているスマホは、無情にも瑠衣からメッセージの着信を知らせてくる。
次はどんな言葉が書いてあるのだろう……
蒼汰は、もうスマホを見たくなかった。
とは言っても、着信がある以上、それを見たいという衝動も抑えることはできなかった。
たとえ、それが辛辣な言葉であると分かっていても……
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